CNET カンファレンスレポート

六本木アカデミーヒルズ40で開催された、「CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn」 に参加してきましたので、レ...

CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn六本木アカデミーヒルズ40で開催された、「CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn」 に参加してきましたので、レポートを簡単にまとめておきます。今回のテーマは 「次世代ウェブの検索サービスを探る」。検索サービスのトレンドを主要検索サービスデベロッパーの方々の講演を中心にパネルディスカッションを加えた構成。たっぷり 8時間半、有意義なカンファレンスでした。

とりあえず、各講演の内容を簡単にメモりつつ、印象に残った部分のみをまとめてみました。が、やはりどんなにメモっても時間が経つと忘れます...... 今後はノート PC を持っていこう。

MSN Search の戦略

さて、まず最初に登場したのが米 Microsoft GM、Derrick Connell 氏。現状のトレンドを取り上げつつ Microsoft の戦略について。トレンドとしては昨今よく言われるキーワードが盛りだくさん。

  • ユーザーコントロールに対する意識の高まり
  • ネットを介したコミュニケーションの広がり
  • Blog を始めとした参加型Webの広がりに代表される自己表現の拡大
  • PPC やアフィリエイトによる自己表現のビジネスモデル化

で、そのまま話はオンラインマーケティングへ。Connell 氏は 「デジタルマーケティング」 という言葉を使っていましたが。で、ROI の追求やユーザーへの的確なリーチ、ユーザーとの双方向コミュニケーションによる関係構築がデジタルマーケティングの課題ですねっていう感じのことを中心に、Microsoft がデジタルマーケティングのプラットフォームになります、みたいなことをおっしゃっていました。途中で Windows Live のデモなどもあり。Windows Live 使わせてもらってますよ

CGM 時代の検索サービス

続いては、米 Ask Jeeves から Daniel Read 氏。Web2.0 をキーワードに Ask が考える検索サービスの展望を語ってくれました。まず、Next Generation Search Challenge として、検索サービスにおける Web2.0 という観点から、Ajax を始めとしたユーザーインターフェイスの革新、CGM (Consumer Generated Media) への対応、テクノロジーの融合、いわゆる Mashup をトレンドして語り、例として 「Trulia」、「Indeed」、「inquisitor」 などを紹介。

また、New Idea and Technology としてユーザーの検索ニーズに Ask がどのように対応していくのかというところを 「Teoma」、「Zoom」、「Binoculars Site Preview」 など、Ask の機能を例に挙げつつ解説してくれました。

Ask としては Vertical Search を極めつつ、それをワンボックスで提供するって言うのが目指す方向性ということみたい。

モバイル検索の可能性

この後は、お昼ご飯のお弁当をいただきつつ 1回目のパネルディスカッションへ。goo、MSN、BIGLOBE、infoseek、Livedoor といったポータル各社をパネリスト集め、モデレーターにサーチテリアの中橋氏という構成で、「モバイル検索の可能性」 と題してディスカッション。来場者はお弁当を食べながら話を聞いている感じ。パネリストの方で一部ボソボソとお話になる方がいて、よく聞こえないです。

持ち歩くというモバイル機器の特性に合わせた検索サービスっていうのが大切ですねみたいな話になっていたような気が。位置情報とリンクした検索サービスとか。

Yahoo! 検索のリニューアルとソーシャルメディア化

そして、3つ目の講演は 「Yahoo! 検索のリニューアルとソーシャルメディア化」 と題したヤフー、井上氏の講演。正直この井上氏の講演が個人的には一番よかったと思う。まずは、Yahoo! Search のリニューアルについて。デフォルト検索をカテゴリーからページ検索に変更した理由についてですが、要は Long Tail なニーズがユーザーの間で高まるにつれて、コンテンツへのダイレクトなリーチっていうのが必然的に求められますよねっていう、そのためにはページ検索をデフォルトにするのがベストとの判断。

じゃあ、カテゴリーって意味ないの?という問いに関しては、SEO 的観点から重要ですよとのお話。また、近くカテゴリーをリニューアルするとのことで、カテゴリー閲覧履歴や人気によってカテゴリーの表示順位をソートするなどの改善を行う予定とのことでした。

次に Yahoo! Search のビジョンですが、RCFPT に基づいたサービス改善を継続的に行い、情報を探すという行為から個人の 「知」 を共有する場としての検索サービス、ソーシャルメディアへのシフトというのが Yahoo!Japan の掲げるビジョンということ。ちなみに、RCFPT とは、

  • Relevancy (関連性)
  • Comprehensiveness (網羅性)
  • Freshness (情報の鮮度)
  • Presentation (表示の仕方)
  • Trust (信頼性)

これに対して、Discovery と Recovery をサポートする機能、インデックス、及びランキングに対するフィードバック、信頼できるフィルタリングを実装することで、これを高い次元で実現するとのことでした。

あと、梅田氏が嘆かれていた、ヤフーとか日本の大手ネット企業で Web2.0 的な動きって少ないね。という件に関して、今回、ヤフーが API を非常に重視しているということと、実際に 「Yahoo! Developer Network」 を近日立ち上げるよという話が井上氏からあったことは結構大きなニュースなのではないかと思いますよ。個人的にも楽しみです。

サーチマーケティングが変える広告戦略

で、次がオーバーチュアから泉氏。「サーチマーケティングが変える広告戦略」。この方、プレゼンがとってもうまいです。検索連動型広告は従来のマスに向けたマーケティングを、より細分化し、ユーザーニーズに直接リーチするナノマーケティングを実現するということ。これによって、「言葉の市場」 が出現したというのが前半のお話。

後半は検索連動型広告に実際に出稿する側、広告主の立場から、検索連動型広告で成功する為には広告主が変わらなければならないと指摘し、徹底的な ROI の追求、広告費は固定費だという概念から ROI を踏まえた上での変動費であるという概念への転換、マーケッター的思考への切り替えが重要だとおっしゃっていました。

日本語最強検索を目指す 「goo」 の事業強化について

そして、本日 5回目の講演が NTT レゾナントの国枝氏。「日本語最強検索を目指す goo の事業強化について」。まずは goo のサービス強化という点で、モバイルやブロードバンドといったネット環境の変化、Web2.0、情報と消費の Long Tail 化という 3点を軸に、行動が明確、かつアクティブになったユーザーに対して、「行動支援メディア」 となるのが goo のミッションとの説明。

そのための基準として、AIDMA にネットの要素をプラスした消費者行動モデル、「AISCEAS」 を挙げていました。「AISCEAS」 というのは、

  • Attention (注意)
  • Interest (興味)
  • Search (検索)
  • Comparison (比較)
  • Examination (検討)
  • Action (行動・購入)
  • Share (情報共有)

と表されますが、このうちの 「Search」、「Comparison」 の部分を検索サービスが、「Examination」、「Share」 の部分を Blog に代表される CGM が支援すると考え、そこに goo が入り込むというのが狙い。

あと、純国産のサーチエンジンということで、日本語に対するフォローにはやはり絶対の自信を持っているのがうかがえます。ATOK との連動による 「gooサジェスト」 など独自の使いやすさ追求には大いに期待できます。

また、最後に NTT グループ全体の再編に触れ、グループのリソースを統合することで、ブロードバンド、ユビキタスサービスにおける上位レイヤーサービスを提供する企業への躍進をいうのを語っておられましたね。

立ち上がるブログ検索関連市場

お次は 2回目のパネルディスカッション。「立ち上がるブログ検索関連市場」 というお題。モデレーターは CNET Japan 上での Blog でおなじみ渡辺聡氏。Blog 検索の現状から、各社が考える今後の展開などについてのお話。

Google の考えるグローバルな情報交換

最後に登場したのが米 Google から、Google 初のインターナショナル・プロダクト・マネージャーだというAngela Lee 氏。唯一の女性の講演者です。日本語がとても堪能なので、普通に日本の人がしゃべっているみたい。テーマは 「グローバルな情報交換のこれから」。

まず、大きなテーマとして彼女が挙げたのが下記の 4つ

  • Beta Service Launch
  • ボランティア
  • API
  • オープンソース

Beta Service Launch、Web2.0 のマインドマップの中にも 「The perpetual beta」 なんてキーワードが入っていましたが、基本的にサービスはみんなで作り上げていくものという概念が強いということですね。サービスをリリースし、ユーザーからのフィードバックを集め、機能改善を常にしていく、だからずっと BETA ってこと。BETAでローンチっていうと、とりあえずリリースしてっていう 「リリーススピード」 が大事と考えちゃう人がいますが、そういうことではないってことです。

次のボランティアですが、Google のサービスの特徴として、かなり広範囲の言語にすばやくローカライズされてサービスが提供されるという点があります。それを支えているのが実は世界中のボランティアの人たちなんですよという話。

API に関しては言うまでもありません。Google にとって API の提供が非常に大きな意味を持っているということです。また、オープンソースに関しては 「Works With Open Source Organization」 を通して積極的な支援を行っていますよとのこと。「Summer of code」 というオープンソースにチャレンジしたい人をアドバイザーとなる個人やデベロッパーと結びつける限定イベントのようなものも実施され、多くのプロジェクトが立ち上がった例なども挙げていました。

さらに、つい最近話題になった 「Google Base」 についても語っていて、従来のクローラーによる情報収集の限界を超える手段として、ユーザーサイドからのコンテンツの投稿というアプローチを取ったと。また、Web サイトを持たない人でも、情報をインデックスさせることができるというのが新しいんだと。ちなみに Google Base の 「Base」 はデータベースの 「ベース」 だって。合わせて、「Google Local Business Center」 といったビジネスオーナ向けサービスにもふれていました。

講演の最後に、言葉の違いを克服し、言葉による制約を受けない 「No Border」 なサービスになるというのが Google の未来だという話がありましたが、期待させてくれますね。

以上、長くなりましたが CNET カンファレンスのレポートでした。

記事をここまで御覧頂きありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートしてみませんか?