以前、この Blog で 「W3C の仕様勧告プロセスに大幅変更の可能性」 という記事を書きましたが、8月 1日付けで新しい仕様勧告プロセスが発表され、8月 5日から有効になりました。
勧告プロセスの大きな変更点としては、最終草案(Last Call Working Draft / LC) と 勧告候補 (Candidate Recommendation / CR) が統合されたという点。 勧告までのプロセスをよりスピーディに、わかりやすくするための変更とのこと。
上記、ProcessTransition2014(FAQ) の概要部分にまとめられていますが、大きな変更としては、「7 W3C Technical Report Development Process」 (第7章 技術仕様の開発プロセス) の変更だよということが書かれています。
これまでの勧告プロセスは下記のように、草案(FPWD / WD) → 最終草案 (LC) というプロセスの中で、ワーキンググループ (WG) や W3C メンバーによるレビューを経て、勧告候補 (CR) へと進み、そこで実装例の蓄積やテストケースの整備を行います。
- Working Draft (FPWD / WD) - 草案
- Last Call Working Draft (LC / LCWD) - 最終草案
- Candidate Recommendation (CR) - 勧告候補
- Proposed Recommendation (PR) - 勧告案
- W3C Recommendation (REC) - W3C 勧告
今回更新された勧告プロセスでは、最終草案 (LC) と、勧告候補 (CR) を統合し、LC におけるレビューをやりながらも、同時に実装やテストケースの整備を進めましょうという感じで、下記のように変更されています。
7.1.1 Recommendations and Notes
W3C follows these steps when advancing a technical report to Recommendation.
- Publication of the First Public Working Draft,
- Publication of zero or more revised Public Working Drafts.
- Publication of a Candidate Recommendation.
- Publication of a Proposed Recommendation.
- Publication as a W3C Recommendation.
- Possibly, Publication as an Edited Recommendation
7.1.1 Recommendations and Notes : World Wide Web Consortium Process Document から引用
新しい勧告プロセスを図で表すと下記のような流れに。
また、勧告に対して修正を加える場合のプロセスについても、「7.7 Modifying a W3C Recommendation」 セクションで詳しく説明されています。
その他、細かい変更点や今回の変更に関する意図などについては FAQ を見ると細かく書かれていますのでよいと思います。
追記 (2014年8月6日 13:00)
もう少し細かく読みましたが、勧告案 (Proposed Recommendation / PR) に関してもこれまでの要件だった、「2 interoperable implementations (2つ以上の実装例)」 から、「adequate implementation experience (適切で十分な実装経験)」 へと変更されました。
さらに、その 「実装経験」 というのは具体的にはこういうことですよという説明が、「7.2.4 Implementation Experience」 のセクションで説明されています。
W3C Updates Recommendation Track Process http://t.co/52jDzTgF77
— W3C (@w3c) August 5, 2014