最新のコーディング環境にあわせて 7 年ぶりに大幅改訂された「Web 制作者のための Sass の教科書 改訂 3 版」

Web サイト制作・開発プロジェクトにおける CSS プリプロセッサのデファクトスタンダードとも言える「Sass」の基礎から実践までを網羅したロングセラー書籍の最新改訂版となる 「Web 制作者のための Sass の教科書 改訂 3 版」 の紹介。

Web 制作者のための Sass の教科書 改訂 3 版 書影

近年の Web サイト制作・開発において、CSS の管理はプロジェクトの規模が大きくなるほど複雑化していきます。

大規模で複雑なプロジェクトであっても、例えば、使用する色の一貫性を保ちたい、共通の値を変数として使いまわしたり、よく使用するコードを効率よく再利用するなどして効率的な開発を行いたいというのは当然の願い。

そんな時にとても強力なツールとなるのが「Sass (Syntactically Awesome Style Sheets)」。まぁ今さら私なんかが Sass とは何かなどという説明をしなくても、Web サイト制作に携わる方であれば皆さんご存じのやつです。

そんな Sass ですが、はじめてこれに触れる人が体系的に学ぼうとすると機能が多い分色々と大変ですし、Sass 自体も、2006 年のリリース以来、長い時間をかけてバージョンアップを何度か経ていることから、Web 上の情報の中には最新のバージョンに一致しない情報も数多く含まれており、最新の情報がまとまった書籍なんかがあると便利ですよね...... ということで今回紹介する書籍です。

Web 制作者のための Sass の教科書 改訂 3 版

「Web 制作者のための Sass の教科書」 は、最初の版が 2013 年 9 月に発売されてから今年で約 12 年が経過したロングセラー書籍。2017 年の 9 月に第 2 版が発売され、そこからさらに 7 年。昨年、2024 年の 12 月に、今回紹介する 「改訂 3 版」 が発売されています。

著者のお 2 人とは個人的に昔からお仕事などでご一緒しており、特に平澤氏とは元同僚 (遠い昔......) ということもあって今でもお世話になっているのですが、そのご縁もあり、この最新著書を頂戴しましたので、早速目を通してお礼がてらにこの記事を書いています。

昨年の 12 月に発売された書籍の記事をなぜ半年近く経った、5 月に? と思われるかもしれませんが、その辺は色々と事情があってのことです。紹介が遅くなって本当に申し訳ございません。

初学者でもわかりやすい基礎からの解説と中級者以上にも有益な実践例

書籍の内容としては、Sass の基礎から応用まで網羅された内容になっていますが、当然ながら前提として CSS や HTML に関する知識は必要ですのでそこだけは注意してください(もし、CSS や HTML についてはじめから勉強したいという場合は、宣伝ですが私の著書である 「できるポケット HTML&CSS全事典 改訂4版」 などを合わせてお読みいただければ幸いです)。

Sass については、そもそも Sass って何なの? というところから、初期の環境構築方法、基本的な機能の使い方など、前半部分でかなり丁寧に解説されており、Sass をはじめて導入しようという方でも迷うことなく進めることができるでしょう。

環境構築の解説も、最新の動向に合わせて、Dart Sass を使用する前提になっていますし、基本機能の部分でも非推奨になった @import の代わりに、@use@forward の解説がしっかりされていて、この辺も安心して参考にできます。

また、第 4 章以降では少し高度な機能についての解説や実践例が紹介されており、すでに Sass を導入している人でも参考になる部分があると思いますので、Sass を導入してだいぶ使い慣れてきたな、くらいの中級者の方なんかにも、1 冊手元に置いておくとよい書籍なんじゃないでしょうか。

実践例として AI (ChatGPT) を活用したテクニックなんかが掲載されているのも今っぽいなと思いました。

最近はネイティブな CSS でも、ネスト記法、カスタム変数、calc() 関数による四則演算や、color() 関数をはじめとした色関数、その他 CSS 関数などを使用して、かなり複雑なことができるようになっていますが、Sass には Sass にしかない利便性が数多くあり、プロジェクトで導入する機会も多いでしょう。

Sass について、基礎から応用まで、体系的に学びたいという方に、本書はオススメだと思います。

記事をここまで御覧頂きありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートしてみませんか?