カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の開発者会議 「Google I/O」 で Google がビデオコーデック 「VP8」 をベースにオープンなビデオコーデック 「WebM」 を発表したとのことなのでとりあえず簡単にメモ。すでに WebM Project のサイトも開設され、情報提供が始まっています。
HTML5 で video がサポートされて、Flash などのプラグインなどを使用しなくても簡単に動画の再生が可能になる予定ですが、ちょっと問題なのがその動画のコーデック (簡単に言えば動画の規格) をどうするかという問題。コーデックの優劣とかの問題と言うよりも、ライセンス形態とそれに関連してブラウザのサポート状況がまちまちになってしまっているのが問題で、これまで 「H.264」、「Ogg Theora」 の2つのコーデックのうち、どちらをサポートするのか各ブラウザベンダが割れている状況でした。
ちなみに各ブラウザの対応状況は Wiikipedia でも確認できます。
Google の Chrome は両方のコーデックをサポートしていますが、Microsoft が現在開発中の IE9、Apple の Safari は H.264 のみ、逆に Firefox や Opera は Ogg Theora のみというサポート状況。 Firefox や Opera がなぜ H.264 をサポートしないのかについては H.264 の特許問題が理由としてあります。
※ なぜ Firefox が H.264 をサポートしないのかについては Robert O'Callahan 氏の下記の Blog 記事がわかりやすいです。
H.264 は MPEG LA という管理会社がライセンスを管理しており、これを利用するにはライセンス料を支払わないといけません (正規のエンコーダで作成した H.264 ビデオを無償で提供する Web サイトへの課金は 2015年末まで無料になっていますが)。折角 HTML5 とかでオープンな Web を実現しようとしてるのに、ライセンス料を払わないと使えないコーデックが主流になるのはダメだろというのが彼らの主張で、それはまあごもっともなんですが、その結果 (H.264 をサポートしないのが悪いって意味じゃないですよ)、ちょっと面倒な感じになって、HTML5 video 自体がしばらくは様子見だねっていう空気になってしまっていました。
そんな中、今年 2月に Google が Ogg Theora のベースとなった VP3 や、その後継である VP8 の特許を所有する On2 Technologies を買収、その後、その VP8 を Google がオープンソース化する予定と報道され、5月にはその成果が発表されるのではないかと噂されていたのですが、その予想通り、今回、新しいオープンソースのコーデック 「WebM」 として発表されました。
発表されて早速ですが、YouTube が WebM に対応開始、Google Chrome、Firefox、Opera 各ブラウザも開発版ですが対応済み、Flash も対応を発表しています。
この辺のサポート状況など、詳しいことは下記の各ぺージで書かれています。
- Introducing WebM, an open web media project : The WebM project blog
- Playing WebM Video : The WebM project
ちなみに YouTube での WebM 動画再生手順は下記の通り。
- Download and install a supported browser (listed below).
- Start the newly installed browser.
- Go to www.youtube.com/html5 and enroll in the YouTube HTML5 experiment.
- Search for a video by keyword. For example, trailers.
- In the browser's address bar, add &webm=1 to the end of the URL. For example, http://www.youtube.com/results?search_query=trailers&aq=f&webm=1.
- Press Enter.
- In the list of videos that appears, click any of the links.
- The video will play in your browser and display HTML5 webm in the toolbar of the video player.
HTML5 テストのページに対応ブラウザで行ったら、URL の最後に 「&webm=1」 を付けろってことですね。
一方、IE9 は標準ではサポートしないものの、Windows への VP8 コーデック追加インストールで対応可能とのこと。IE でのサポートは、非常に大きな問題なので、とりあえずは悪くないかなと。あとの問題はApple の Safari ですが、ここだけ今のところ何も発表がないみたいですね…
今回の WebM 登場で HTML5 のビデオコーデック問題がすっきり解決してくれればうれしいんですが、どうなるんでしょ。注目したいです。
関連するつぶやき
WebMでHTML5のビデオコーデックに関して大きく前進しそうね。 http://bit.ly/bGheST IE9はVP8コーデックの追加インストールで対応可能。Safariはどうなるんだ?
— Yoshiki Kato (@burnworks) May 20, 2010
WebMには当初からFlashが対応してるので、AppleさんはH.264にこだわりすぎるとあまりよろしくない気がしますよ
— Yoshiki Kato (@burnworks) May 20, 2010