Firefox の最新版、Firefox 34 が正式リリースされ、自動更新も提供開始されました。Android 版も同時公開。
以前、この Blog でも書きましたが、このバージョンで、SSL 3.0 がデフォルト無効化されました。また、CSS3 で再定義された、font-variant
プロパティがデフォルトで有効になるなど、CSS Fonts 関連の実装が進んでいます。
font-variant
プロパティとは?
元々のfont-variant
プロパティ (CSS 2.1) は、CSS でスモールキャピタルの指定を行うためのプロパティでしたが、現在策定中の CSS Fonts Module Level 3 では、font-feature-settings
、font-language-override
、font-variant-position
、font-variant-alternates
、font-variant-caps
、font-variant-numeric
、font-variant-east-asian
の各プロパティのショートハンドとして定義されています。
これまでは、about:config から layout.css.font-features.enabled
を有効にしないと動作しませんでしたが、今回この設定項目が削除され、デフォルトで CSS3 版の font-variant
プロパティ、およびその関連プロパティが有効になります。また、font-feature-settings
プロパティ、および font-language-override
プロパティに関しては、ベンダプレフィックスが削除されました。
あわせて、font-kerning
プロパティおよび font-synthesis
プロパティも有効になっています。
SSL 3.0 のデフォルト無効化
これは過去に別の記事で書いていますので、詳しくは下記を参考まで。
ES6 関連の実装もさらに進む
詳細はここでは触れませんが、下記をはじめ、ES6 (ECMAScript 6) 関連で多くの実装が追加されています。
- ES6 のオブジェクトリテラルにおける computed property names の構文を実装しました (バグ 924688)。
- これは getter および setter のメソッド名も同様に含まれており (バグ 1048384)、また destructuring と共に使用することもできます。
- ES6 の、オブジェクトのメソッド定義における短縮記法を実装しました (バグ 924672)。
- ES6 の
Object
のメソッドであるObject.assign()
を実装しました (バグ 937855)。- ES6 の template strings および
String.raw()
メソッドをサポートしました (バグ 1038259、バグ 1039774)。- ES6 の新たなオブジェクトである
WeakSet
を実装しました (バグ 792439)。
WebIDE の追加
Firefox 33 から実験的に追加されていた WebIDE が、デフォルトで有効になりました。WebIDE について詳しくは下記の記事などが参考になります。
あと、開発ツール関連では、Firefox 33 から、インスペクタでイベントリスナが設定されている要素に対して「ev」 アイコンが付いて、そこからイベントの内容を確認することができるようになっているんですが (下記記事参考)、これが、jQuery のイベントにも対応したそうです。
HTTP/2(draft14) と ALPN の実装
今年 7月末に公開された HTTP/2、14番目のドラフト (Hypertext Transfer Protocol version 2 - draft-ietf-httpbis-http2-14) に則った実装が早速行われました。また、ALPN (Application Layer Protocol Negotiation) に対応しています。
検索バーに新しい UI が適用 (英語のみ)
下記の画像は、Nightly のものですが、英語版 (en-US) では検索ボックスの UI が変更されました。キーワードのサジェストとあわせて、検索エンジン選択のためのボタン一覧が表示されます。
Firefox Hello の追加
WebRTC を利用した音声 / ビデオチャットアプリケーション、「Firefox Hello」 が追加されました。現時点では私の環境ではアクセスできていませんが、下記のようにブラウザ上から簡単にチャットを開始できます。
画像は Test the new Firefox Hello WebRTC feature in Firefox Beta : Future Releases から引用
Firefox Hello からチャット用の URL を生成し、それを相手にメールなどで送ることでチャットに招待できる仕組み。WebRTC に対応したブラウザ間であれば、相手のブラウザが、Chrome や Opera など、Firefox でなくても通話可能です。
その他、セキュリティアップデート
このバージョンから Android 版でも、「Public Key Pinning (公開鍵のピンニング)」 が有効になりました (デスクトップ版では Firefox 32 から有効)。
また、緊急 3項目を含む、計 8 項目にわたるセキュリティアップデートが行われています。Firefox 34 で行われたセキュリティアップデートについて詳しくは下記のページを参照してください。