つい先日、Bluesky が招待制を廃止し、誰でもアカウント作成できる状態に移行しました。
これによって今までアカウントを持っていなかった人が新たに流入するケースが増えてくると思いますが、特に企業さんや大手ディアさんなどの、いわゆる公式アカウント (公共性の高いアカウント) を開設する際にお勧め、というかほぼ必須に近いでしょと思われる、カスタムドメインを用いたハンドルの設定について簡単に紹介しようと思います。
なんでカスタムドメイン?
Bluesky は X(旧 Twitter) に似ているので、単に見た目が似てるだけの代替サービスでしょ? みたいな見方をする人もいるようですが、このサービス (というよりネットワーク) のキモは、AT Protocol (Authenticated Transfer Protocol) と呼ばれる新たなプロトコル (正確には、大規模な分散型ソーシャル・アプリケーションのためのプロトコル集合体) です。
Bluesky はあくまで AT Protocol 上で動作している 1 つのアプリケーションにすぎません。つまり、AT Protocol にさえ対応すれば、このネットワーク上にあるアカウント情報を使用した新しい SNS を立ち上げたり、独自のアプリケーションを開発したりすることもできるわけです。
こういった、分散型 SNS プロトコルはここ数年注目を集めていて、Mastodon や GNU social、あるいは Misskey などで使用されていて、最近だと Threads が対応すると言い出したりして話題の ActivityPub や、Nostr (クライアントアプリケーションとしては、Damus や Amethyst などが有名) が代表的なものとして挙げられますが、AT Protocol もその一種ということになります。
で、Bluesky ではハンドルにドメインを使用しています。
ハンドルや、自由に変更できる表示名とかとは別に、永続的、かつ一意にアカウントを識別する DID というものが割り当てられていたりしますし、DID とハンドルの関係性や、それぞれの役割みたいな、プロトコルの仕組みを説明しだすと面倒くさくなるので端折ります。
Bluesky アプリから新規でアカウントを作成すると、初期状態では bsky.social
というドメインに、自分が選択した文字列がサブドメインとして付与された example.bsky.social
というハンドルになります (例えば私のアカウントなら @burnworks.bsky.social) けども、これは、bsky.social
というドメインを間借りさせてもらっている状態。よく、ブログサービスとかで、そのサービスをホスティングするドメインにサブドメインを付けて各ユーザーに提供されるみたいなのがありますが、あれと同じってことです。
別にこれでいいじゃん。という方はそのまま使えばいいんですけども、特に公共性の高いアカウントについてはアイデンティティ (確実にその企業や団体のアカウントであること、なりすましじゃないですよということの) 証明のためにも、間借りのサブドメインじゃなくて、独自に所有しているドメインをハンドルに使用した方がよいと思います。
前提
- 独自ドメインを持っている
- DNS の設定 (
TXT
レコードの追加) ができる
Bluesky 側での設定自体は簡単ですが、別途、上記が前提になります。大して難しい条件ではないですけども。
あと、設定するドメインは大手企業アカウントや公的アカウントとかなら、公式サイトで使用しているドメイン、あるいはそのサブドメインじゃないと意味ないので注意してください。
例えば、内閣府のアカウントを作ったと仮定して、そのハンドル名を cao.go.jp
ですとか、social.cao.go.jp
なんかで設定するならいいですけど、このためだけに取得した、他で使ってもいない、誰も知らんドメイン (例えば naikakuhu.jp
みたいな?) で設定しても、そのアカウントが本物かの確認しにくくなってしまって、カスタムドメインを使用している意味が薄れちゃいますので。
設定してみよう
「前提」 セクションでも書いたとおり、使用するドメインの DNS 設定画面にいけるようにしておいてから始めましょう。
まずはアカウントの設定画面に進み、「ハンドルを変更」 を選択します。
ハンドル設定用のポップアップが開きますが、ここで 「自分のドメインを持っています」 を選択します。
すると、ドメイン設定画面に切り替わります。
「使用するドメイン名を入力してください」 の項目に、ドメインを入力します。下に、「DNS Panel」 という項目があると思いますが、ここで指定された通りに、DNS の設定を行います。TXT
レコードに足すだけなので簡単。
DNS の設定が終わったら、一番下にある 「Verify DNS Record」 を押します。レコードの追加に問題がなければ下記のように完了画面になりますので、「保存」 を押せば終わりです。
上記は私の会社のアカウントにドメインを登録してみた結果です。
ちなみに、TXT
レコードの値に入っているのが、前述した DID です。ハンドルがわかればそのアカウントにたどり着けるのは、DID をハンドルで名前解決してるから、というわけですね。
なお、元々 @example.bsky.social
を持っていた人が、カスタムドメインを設定して @example.com
というハンドルに変えた場合、元々の @example.bsky.social
は他人が取得可能になります。
冒頭で、カスタムドメインの設定を最初からやっておくのがよいと思いますと書いたのは、例えば中途半端に @example.bsky.social
の方が周知 (例えば各所で紹介されてリンクを張られたり) されてからカスタムドメインに変更するみたいなことをやると面倒な事になるかもしれませんよという理由があってのことです。
おまけ
知ってる人には今さらなんだけど、Bluesky はカスタムドメインの認証ができる(`example.bsky[.]social` ではなくて、`example[.]com` をハンドルネームにできる)ので、特に企業アカウントさんなんかはぜひ設定しようなhttps://t.co/xJWHYIHvng
— Yoshiki Kato (@burnworks) February 7, 2024
あと、Bluesky 使ってると文字化けしたリンクカードにたまに遭遇すると思うけどそれは仕様なので修正されるのを気長に待ちましょう
— Yoshiki Kato (@burnworks) February 8, 2024