7月1日、デジパ株式会社はオフィシャルサイトをリニューアルしました。今回のリニューアルでは、主に社内のスタッフ 3名でプロジェクトを組みましたが、今回のリニューアルを担当させてもらって、今更ながら Web サイト制作の現場において、「分業化」という流れが作業の効率化と制作物のクオリティを両立させる上で今後重要なファクターになっていくであろうことを実感しました。
リニューアル完了から 1週間、すこし落ち着いたところで、今回のリニューアルを振り返って、備忘録的に書いておこうと思います。
今回のリニューアルプロジェクトで主に作業を行ったスタッフの役割分担は下記の通り。
1、ディレクター(兼ライター)
制作のディレクションを担当。サイト全体の構成、各ページのコンテンツ内容の企画・選定など、プロジェクトには必須な存在。また、ライターとしての役割も持ち、サイトに掲載されるテキストはすべてこの人の責任編集。
2、デザイナー
サイト全体のビジュアル面のデザインを担当。ページ全体のデザイン、各種画像の作成等を行いました。とにかく見た目の作りこみのみに集中するのがこの人の仕事。
3、コーディング・システム担当
これが私。今回のリニューアルで CMS として Movable Type を導入しましたが、私の仕事はディレクターから渡されたサイト構成とデザイナーからきたデザインを MT 上でどのように実際の形にしていくかを考え、コーディング、MT テンプレートの制作、MT のセットアップ、サイト構築等を行うことでした。
今回、この 3人の間では明確に役割分担を決めました。自分の責任以外の部分は基本的に考えないこと。つまり、デザイナーはその後のコーディングなどについては一切考慮せず、とにかく自由にデザインすることに集中。ディレクターも 「CMS に MT を使うから......」 などといったことは考えたりせずにサイト構成、コンテンツの中身を作り、大まかなイメージは伝えるものの、デザイナーが作ったデザインには基本的に口を出さないといった感じ。
コーディングや MT での構築を担当する私も同様。ディレクターからのサイト構成案を元に MT 上での構成図を描き、デザインデータから必要な画像を切り出し、XHTML や CSS を書いて MT テンプレートに落とし込んでいく過程は、すべて自分の判断と責任で行うことができました。
従来、Web サイト制作の現場では、サイトデザインとその後のコーディングを同じ人が行うことが多く、デザインも出来て HTML も書ける人を 「Webデザイナー」 と呼ぶことが多いと思います。これは制作会社の規模が比較的小さい場合は特に顕著で、場合によってはディレクションからデザイン、コーディング、Perl などのプログラミングまで一人でやっているような場合も少なくありません。(実際私もフリーのときはそうでした......)
私はこのような 1人で全部やるという作業手法を否定する気はまったくありませんが、どうしても人には得意なことと、そうでないことがあります。すべて一流という恵まれた人はそう多くはありません。個人のスキルを明確に分類し、プロジェクトに応じてそれぞれの分野でのスペシャリストを組織するという手法が今後は主流になるでしょう。
そうなると個人でやっている制作会社などでは不可能なことだと思われる方もいるかもしれません。しかし、これは別にそれぞれの分野のスペシャリストを自社で抱えないといけないという話ではありません。それぞれ得意分野を持った制作会社同士が繋がることで実現可能なことです。
以前のエントリーでも書きましたが、制作サイドに求められるレベルは年々向上しています。デザイン力はもちろん、ユーザビリティ、アクセシビリティの考慮や XML 等の新たなフォーマットへの対応、最近顕著な Web 標準という考え方も無視できません。1人がそれらすべてを高レベルで満たすのは容易なことではないのです。「広く浅く」 あるいは 「広く深くを目指す」 より 「狭く、より深く」 が重要なキーワードになっていくのではないでしょうか。
今回のリニューアル作業でも、デザイナーの作るデザインを見て「俺には作れん......」と思いましたし、ディレクターから出てくるコンテンツのアイデアとその編集能力を見て「俺にはできん......」と思うこと多々あり。自分の「より深く」追い求めるべき分野について、改めて考えさせられると同時に、Web 制作における「分業化」に対して確信を深めた良い経験となりました。