Google タグマネージャの新機能として、「ワークスペース (Workspaces)」 と呼ばれる機能が追加されました。バージョン管理をより便利にする機能で、簡単に言ってしまえば Git などのバージョン管理システムでブランチを切るような感じで 1つのコンテナに対して異なる複数の変更を同時に進めていくことができます。
1人で小規模な Web サイトを管理している人にはそれ程大きな恩恵はないかもしれませんが、複数人で大規模な Web サイトへの JavaScript 配信をタグマネージャを利用して行っている方々には便利な機能だと思います。個人アカウントでは最大 3つまでワークスペースを作成できます。
この変更は、企業向けのタグマネージャ 「Google タグマネージャ 360(Tag Manager 360)」 の発表にあわせて行われたもので、企業向けアカウントであれば無制限にワークスペースを作成することができるようです。それ以外の一般アカウントの場合は、最大で 3つまでに制限されています。
Google は今年に入ってからも 「Google アナリティクス 360 (Analytics 360)」 を発表するなど、企業向けに機能を強化した製品を提供することに力を入れているようですが、そのタグマネージャ版となります。
この変更にあわせてタグマネージャの UI も結構変わりましたね。下記が、新しいワークスペースを表示した状態です。
ワークスペースはデフォルトで 1つ作成されていて、この状態でコンテナに対して何か変更を加えると、自動的にワークスペースに反映されていきます。ワークスペースは途中で保存したりする必要はなく、自動的に変更が記録されていきますので、過去に修正を破棄したりするのも簡単です。
編集が完了したら、そのままワークスペースを公開することもできますし、今まで通り、バージョンを作成することもできます。
また、同ワークスペース内で複数のユーザーが変更を加えている場合、編集中のタグが他のユーザーによって書き換えられるといったことも起こると思いますが、その場合は競合があることを下記のようなアラートで知らせてくれるとのこと。
画像は Enterprise-Class Tag Management: Announcing Workspaces : Analytics Blog より引用
変更内容を確認して、必要に応じてマージすることができるようになっていますので、複数人で同時に作業していても安心です。
画像は Enterprise-Class Tag Management: Announcing Workspaces : Analytics Blog より引用
ワークスペースは、個人アカウントの場合、最大 3つまで作成できるようです (デフォルトで 1つ設定されていて、「残りのワークスペース 2個」 と表示されているので)。
ワークスペースが 1つしかなければ、基本的には今まで通りの流れで、変更 → 必要に応じて確認 → 公開 と進んでいけばよいと思いますが、ワークスペースを複数作成した場合は、「ワークスペースの管理」 からワークスペースを切り替えて作業することができます。
例えば、デフォルトのワークスペースで、既存サイト用の作業を進めつつ、別のワークスペースでリニューアル後の Web サイトで配信する JavaScript の作業を進めておいて、新旧 Web サイトの切り替え時にタグマネージャ側でも新サイト用のワークスペースを公開するといったことが可能になります。
ちょっとまだ使い込んでいないので細かい点はわかりませんが、大規模な Web サイトの管理に利用している方は試してみるとよいと思います。