以前、Chrome で loading 属性を用いたネイティブ実装の遅延読み込みが実装された際にも書いたのですが、Firefox でも先日正式リリースされた Firefox 75 で、同じく、HTML の loading 属性を使用した画像の遅延読み込みが可能になりました。
Chrome での実装により(日本では現在 Windows Update での自動配信が保留になっていますけども)、Chromium 版 Microsoft Edge も loading 属性に対応しますし、今回 Firefox が正式に対応したことで、あとは WebKit が対応してくれれば足並み揃う感じですね。
「200764 - Main implementation for lazy image loading」 を見る限り、WebKit での実装も近そうですが。
loading 属性
loading 属性について簡単におさらいしておきましょう。loading 属性は、ユーザエージェントに遅延読み込みの実行を指示するための属性で、指定可能な属性値は下記の通りとなっています。
属性値 | 意味 |
---|---|
lazy |
可視状態になるまでリソースの取得を遅延させることをユーザエージェントに指示します。 |
eager |
可視状態に関係なく、リソースをすぐに取得する必要があることをユーザエージェントに指示します。 |
元々は Chrome の先行実装でしたが、現状では HTML Living Standard 仕様でも定義されていて、img 要素に対して使用可能な属性となっています。
具体的なソースコード例
具体的には下記のような指定になります。
<!-- 画像に属性を指定するだけ -->
<img loading="lazy" src="sample.jpg" alt="サンプル" />
<!-- 例えば picture 要素に指定するなら picture 要素ではなく、内包する img 要素に指定 -->
<picture>
<source srcset="..." />
<source srcset="..." />
<img loading="lazy" src="sample.jpg" alt="サンプル" />
</picture>
なお、当然ですが、loading="lazy"
が指定されていても、ページ読み込み時、ビューポート内に配置された画像は遅延なく読み込まれます。ビューポートの外にある画像に関して、ユーザエージェントの判断で遅延読み込みが行われますので、その辺はユーザエージェント任せということになります。
Firefox 75 での動作
ということで、実際に試してみました。
img 要素(loading="lazy"
指定済み) が多めで、縦に長い Web ページを開いてみて、開発者ツール -> ネットワークタブで画像の読み込みを確認します。
Web ページ表示の初期状態、つまりファーストビューを表示している状態で読み込まれた画像の状態が下記。
しばらく時間をおいて、Web ページをスクロールしてみると、下記のように遅れて、当初表示範囲外にあった画像が読み込まれているのがわかります。
ちなみに、Chrome 75 で最初に実装 (デフォルトでは無効 / 有効にするには chrome://flags
の変更が必要) された際は、Web ページの初期読み込み時に、表示範囲外の画像に対しては range: bytes=0-2047
、つまり最初の 2KB だけ取得しにいっておいて、実際に表示する際に完全なデータを取得するという挙動になっていたのですが、その後、Chrome 76 で正式に実装されて以降は、今回の Firefox 75 と同様の動作に変更されています。
ということで、冒頭にも書いたとおり、WebKit での実装も近そうな予感ですし、各ブラウザでの足並みが揃うと、遅延読み込みの実装もかなり楽になりそうです。
余談ですが、Firefox 75 では他にも CSS における min()
、max()
、clamp()
関数に対応したことで、他のブラウザ実装と足並みがそろいましたので、この辺について詳しくは別記事で書こうと思います (追記: 書きました)。